誤った知識を持っている方も多いのが問題
高齢者になれば誰もが認知症になるのは脳の機能が衰えるからという認識を持っている方も多いですが、これはある意味正解と言えますが、間違った認識とも言えるでしょう。
人間は誰もが年齢を重ねると体のあちこちに老化現象が起こりますが、脳も例外ではありません。
脳の機能は誰もが衰える可能性はありますが、全ての人が認知症を発症するとは言えません。
このように認知症に関する正しい知識を持っている人は、実際に介護の現場で仕事をしている方でも少ないのではないかと言われています。
改めて認知症の正しい知識を確認し、高齢者の介護を行う際にはしっかり理解しておくようにしたいものです。
二つの原因
認知症を引き起こす原因になると言われているのが、アルツハイマーと脳血管障害という病気です。
それぞれの原因によって症状の進行具合が異なり、前者の場合は少しずつ脳が萎縮していくのに伴い症状が悪化していくもので、後者の場合は発作が起こるとその段階に応じて症状が悪くなると言われています。
どちらの場合でも症状の現れ方は個人差があり、記憶が曖昧になったりする症状が見られるものの日常生活では大きな問題にならない場合もありますが、明らかに言動や行動が乱暴になったり、昼夜を問わずに周辺を徘徊するようになったりなどの問題行動が現れる場合もあります。
このような症状が見られると介護をしている側にも大きな負担を強いる結果になるのです。
認知症は脳の病気だけが原因ではない?
認知症は脳の病気であるという認識が広まった原因には、認知症による様々な原因が現れるようになったのは本人の意思とは関係なく脳の病気によるものだから仕方がないという説明を受けることで、家族を安心させたいという意図があったと考えられています。
脳の病気なら自分たちには手の施しようがないと諦めてしまう方もいますが、他にも理由があるのではないかと考えられる研究結果も存在しています。
例えば脱水症状や便秘、不活発な生活を続けている方の中に認知症の症状が悪化する傾向が認められ、問題行動がひどくなったことから自宅での生活が難しくなったため施設に入所して適度な水分補給や栄養摂取、運動などを行ったところ、少しずつ症状が改善してきたという事例があるそうです。
特に便秘については排便前に問題行動が多く見られるという高齢者が多いことから、認知症の症状を悪化させる原因になっているという説が有力だと考えられています。
認知症は脳の病気が引き金になるものだという先入観を捨てて、他にも原因になることがあると考えるのが正しい認識だといえます。
これからは介護の現場でも先入観を持たずに幅広い視点で適切な介護を行うことが大事だと考えられます。