介護費用軽減を可能とする「世帯分離」
世帯分離とは、自治体が管理する住民票に登録された単位である1つの世帯を、複数に分割する事を指します。
その結果、同住所地に複数世帯主が登録されることとなるのです。
例えば、親と子が各々独立した生計・家計を営むことを条件に、住所地の存する自治体窓口で所定の手続きをすれば世帯分離が可能です。
そのメリットに、介護保険サービス料の実質負担額を少額に軽減出来る事が挙げられます。
さまざまな介護サービス利用料金の一部は、要介護者側が負担しなくてはいけないのですが、負担額には世帯所得に応じて限度額が設けられています。
世帯分離をして自己負担をしている世帯の所得を下げる事により、自己負担上限額も連動して下がることになるというわけです。
注意が必要な分離に関するマイナス点
1.健康保険料が増額するケースがある
国民健保加入世帯が複数に分かれるケースでは世帯ごとに保険料が求められ、負担の合計が増加することもあります。
2.企業の健康保険組合を活用する方がメリットの大きいケースがある。
介護者が給与所得者の場合、企業の健康保険組合の扶養家族扱いにして、組合の制度を活用する方が、メリットが大きいケースがあります。
3.複数家族の介護サービス利用の合算ができなくなる
例えば複数の介護サービス利用者が2つの世帯に分かれると合算して自己負担額が計算され還付申請出来なくなるため事例によっては、逆に負担が増加するケースがあります。
介護サービスの自己負担と上限の考え方
特別養護老人ホームへの入居や在宅介護でのデイケアやデイサービスなどを利用すると、サービスの種類によって定められた利用料金の基本的に1割が自己負担となります。(現役なみ所得者は2割)
しかし、この自己負担額には上限が設定されており、上限を超えて払ったサービス料は超過分の払い戻しを申請出来ます。
この上限額は世帯の所得に応じて定められており、具体的には次のように規定されます。
1段階
生活保護を受ける世帯、または世帯構成員すべてが住民税非課税かつ老齢福祉年金を受けているケースは、上限額は月に1万5千円(個人)です。
2段階
世帯構成員すべてが住民税非課税、かつ当人の年金・(税金計算上の)合計所得を足し合わせて年80万円を超えないケースは、上限額は月1万5千円(個人)または24,600円(世帯構成員全員)です。
3段階
世帯構成員すべてが住民税非課税、かつ前記2つに当てはまらないケースは、上限額は月24,600円(世帯構成員全員)です。
4段階または一般
上記3つの段階に該当しないケースでは、上限額は月に4万4千円です。
なお、上限額の詳細については担当のケアマネジャーにご相談ください。