高齢者の一人暮らしが増加する理由と課題

統計でみる増加する高齢者の一人暮らしとその実像

65才以上の1人暮らし高齢者数は性別を問わず増加傾向にあり、2016年に国が行った高齢者に関する調査結果を見ると、2010年の高齢者総人口のうち一人暮らしの方のウェイトは、男性11%、女性20%で、30年前に比べほぼ倍増しています。
特に目立つのは夫と死別した可能性が高い75 才以上の高齢女性の一人暮らしです。
将来、国民の3分の1が65才を迎えていると推定される2025年には、高齢者数に占めるひとり暮らしのウェイトは男性15%、女性23%にまで高まる予想です。

ただ、近年の高齢者は積極的にグループ活動へ自主的に参加する傾向にあり、2013年調査時点では、60才以上の6割超の方が何がしかのグループ活動に参加しています。
活動内容は多岐にわたっており、健康スポーツ分野の34%を筆頭に、趣味分野が21%、地域行事が19%と続いています。

高齢者の他者とのコミュニケーション頻度(電話や電子手段を含む)は、一般世帯では「毎日」が9割以上となっていますが、これに対し、高齢者単身世帯では76%程度にとどまっています。
人付き合いに関して顕著に言えることは、付き合っていると回答した方の割合が女性の80%強に比べて男性74%程度と男性の方が人との交流が少ないことが伺えます。

高齢者が一人暮らしとなる理由

高齢者が1人暮らしとなる原因は複数挙げられますが代表例を2つ挙げると「頼れる人の不在」と「生活の現状に満足している」点があります。
頼れる人の不在という点では、60才以上の1人暮らし高齢者の12%の方が該当します。
また、今の生活に不満がないという点に関しては、多数の高齢者は現在の経済的な生活に満足感を得ており、1人で自由気ままに生活したいと考えていることがわかりました。

特に80才以上の高齢者は、実に80%もの方がそのように考えているのです。
実際に高齢者世帯の所得を見ても平均年300万円と全世帯に比べれば約5割にとどまりますが、1人あたりに換算すると大きな差異はないのです。
住居に関しても高齢者の約80%が現状に満足しており、持ち家だけでなく賃貸でも56%以上の方が満足しているのです。

1人暮らしの高齢者が引き起こす諸問題

高齢者の1人暮らしには、さまざまなトラブルが伴います。
家族の目が届かない1人暮らし高齢者が認知症を患うと、地域の決まりごとを守ることが出来なくなり、近隣住民と摩擦が生じることが増えてきます。

例を挙げるとゴミ出し曜日を守らずにゴミを道路に出しっぱなしとなり、カラスやネコにゴミを散らかされるといった問題が生じます。
また、悪気はなくとも大声を出したり、テレビの音量を不必要に高くして、騒音の苦情が起こったりします。
家族に注意されることもないため、クルマを運転して交通事故を起こしたり、犯罪に発展したりする場合さえあるので、社会的問題となっているのです。