年々増加傾向を示す介護離職者
2012年の国の統計を見ると、家族などの介護をする人数は約560万人、うち約290万人は仕事をもって働きながら介護を両立していますがその担い手となる多くの世代はシニア世代が多いことに驚きます。
2012年9月までの1年に介護を理由に仕事を辞めた離職者数は10万人を超えています。
この統計の前の過去5年間は8万人程度の年が多かったのですが、初めて10万人を突破したことから、介護離職に対する関心が高まりました。
統計に見る介護離職後のダメージ
働きながら介護を続けていて介護負担が重くなるにつれ、仕事と両立させることは不可能と判断して仕事を辞めてしまう方が多いのですが、離職はさまざまなダメージを伴います。
統計では、精神的、肉体的、経済的に負担が増加したとの答えが多く寄せられています。
精神面では負担が増加したと感じる方が、約65パーセントに及んでいます。
肉体面でも50パーセントを超す方が負担の増加を感じています。
さらに経済面では負担増を感じた人が最も多く、実に4分の3もの方が負担増を感じています。
統計では現れませんがこれらの要素は互いに関連があり、中には全てにおいて負担増を感じた方もいるはずです。
それぞれのケースで感じ方は異なるため一概には言えませんが、家族の介護のため仕事を辞めても負担は逆に増すケースが多いということは言えるでしょう。
その後の問題として、離職した後再び就職するに当たり正社員として採用された方は約5割にとどまり、再就職が希望通りに出来る方が少ない点も見ておく必要があります。
介護離職「ゼロ」を目標にした国の施策
1.介護休業制度
要介護の家族の介護のために一定期間休みが取得できる制度です。
適用される家族の範囲は配偶者、父母、兄弟姉妹等幅広く認められています。
期間は適用家族1人当たり、のべ93日までの休みを3度に分けて取得出来ます。
2.介護休暇制度
前述の介護休業制度はある程度長期間を休む制度であるのに対し、こちらは単発の休みを取るものです。
厳密に介護に限定されるのではなく、病院通いの付き添いのためにも休むことが出来ます。
対象家族1人当たり年5日間認められます。
3.勤務時間の短縮制度
介護が必要な家族を介護する従業員は、雇い主から短時間勤務やフレックスタイム制度、時差出勤等の措置を受けられるようになりました。
4.時間外労働や深夜業の規制
介護が必要な家族を介護する従業員の雇用主は職務に重要な支障が生じない限り、月24時間、年150時間超の残業をさせる事や深夜労働が禁止されています。
5.介護休業給付金
介護休業をした被保険者に支給される介護休業給付金は、雇用保険の被保険者で定められた条件をクリアする方が、職場復帰を前提として休みを取得した場合に支給されます。
支給額の水準は原則として67パーセントです。